2020.02.13最終更新日:2020/06/25

ベタ基礎だからと安心できない 布基礎との比較

 

家を建てようと思っている人ならば、住宅の基礎工事には「ベタ基礎」と「布基礎」があるのをご存じかと思います。最近の基礎工事といえばここ10年くらいで「ベタ基礎」が主流になった気がします。やはり阪神淡路大震災からいくつかの大地震を経験したからでしょうか。

 

弊社でもベタ基礎を標準としています。

 

では「ベタ基礎」ならば 即、安心安全なのでしょうか? 逆に布基礎はまるでダメなのでしょうか?

 

そのあたりをわかりやすくお伝えできればいいなと思います。

基礎工事の重要性を認識しよう

出来上がってしまったら見えない基礎工事

そもそも基礎工事は何の為にするか?

『基礎』を辞書で調べると、

その上に建物を建てたり大きな装置を設置したりするために据える土台。いしずえ。

建造物や構造物の自重による荷重や、地震や風によって加わる水平方向の荷重を最下部で支持し地盤に伝える部分。物事の根幹となる物。基本。

というように書かれている通り、いくら建物を頑丈に作っても、基礎がいい加減なものではその強度を保てません。しっかりした基礎無しでは大事な生命財産を守れません。

ベタ基礎と布基礎の違いは何?

上の写真、実はベタ基礎と布基礎です。

どっちがどっちかわかりますか?わかりませんね。

正解は上がベタ基礎で、下が布基礎です。

このように出来上がってしまうとなかなか分かりにくいものですし、仕様の違いも見えませんね。

写真を使ってそれぞれの違いと特徴を説明したいと思います。

ベタ基礎とは

ベタ基礎

上の写真のように建物の部分全面を鉄筋コンクリートの底板(ベース)で支えるものです。

住宅の重みを面で受け止めるため、荷重を分散しやすく耐震性が高くなります。

布基礎とは

布基礎は上の写真のように建物を支えるのは立ち上がっている部分のみになります。鉄筋もこの部分にのみしか入りません。点で支える構造になります。

このあと立上り部分以外の地面に防水シートを敷き、その上からコンクリートを打設します。

出来上がると最初にお見せしたような、ベタ基礎と変わらない見た目になります。

ベタ基礎に比べ一番のメリットはコストです。

使用する鉄筋などが少ないため、コスト安につながります。

ベタ基礎に比べて布基礎はまるでダメなのか?

ではベタ基礎に比べ布基礎はまるでダメかというと、そうも言いきれません。

確かに耐震性はベタ基礎のほうが有利ですが、そもそも耐震性は基礎だけで決まるわけではなく、地盤と基礎と構造の3つの要素で決まるのです。

もともとの地盤が強固であれば何ら布基礎でも問題はありません。(いろいろ注意点がありますがここでは割愛します)

ベタ基礎ならばそれで安心?

実はセールストークで「うちはベタ基礎だから安心ですよ!!」という建築会社が割とあります。

もちろん間違いばかりではありませんが、怪しいのが混じっているのも本当です。

地盤調査で得た地耐力

建設省告示第1347号 第1項

地盤の長期に生ずる力に対する許容応力度が

・20KN/?未満  基礎ぐいを用いた構造

・20KN/?以上30KN/?未満  基礎ぐいを用いた構造またはベタ基礎

・30KN/?以上  基礎ぐいを用いた構造、ベタ基礎又は布基礎

難しい日本語ですね?!!

地耐力。これは地盤が重みに耐えられる強さや地盤沈下に対してどの程度の抵抗力があるかを示す指標です。数値が大きいほど強い地盤になります。(基礎ぐいは高層マンションなどの施工なので今回関係ないので無視してください)

ベタ基礎の規定

建設省告示第1347号 第3項抜粋

立上り部分の厚さ 12cm以上

主筋径12mm以上の異形鉄筋を上端と下部の底板に配置し補強筋と緊結

立上りの補強筋は径9mm以上の鉄筋を30cm以下の間隔で縦に配置

底板部分の厚さ  12cm以上

底板の補強筋 径9mm以上の鉄筋を縦横に30cm以下に配置

シュミレーション

仮にある土地の地盤調査をして25KN/?という地耐力が出た場合、ベタ基礎ならばOKということになり、ベタ基礎の規定にある仕様ならば大丈夫です、という解釈になります。

ですが、基礎の仕様を※許容応力度計算ではじき出すと、全くそのような仕様ではダメということがあるのです。

※許容応力度計算・・・構造計算の1種です。より簡単な壁量計算という方法もあります。

以下の画像は許容応力度計算をもとに作られた「基礎伏せ図」と「断面図」になります。

断面図からお分かりいただけるでしょうか?

先ほどの国の定めるベタ基礎の規定と照らし合わせると、

立上り部分の厚さ 規定では12cm以上 → 計算からは15cm必要

規定では主筋径12mm以上の異形鉄筋を上端と下部の底板に配置し補強筋と緊結 → 計算からは径13mmの異形鉄筋(D13)が必要

規定では立上りの補強筋は径9mm以上の鉄筋を30cm以下の間隔で縦に配置 → 径10mmの異形鉄筋(D10)を20cmの間隔で縦に配置(@200)が必要

底板部分の厚さ  規定では12cm以上 → 計算からは15cm必要

底板の補強筋 規定では径9mm以上の鉄筋を縦横に30cm以下に配置 → 計算からは径13mmの異形鉄筋を縦横に20cm間隔に配置が必要

規定の仕様と同じなのは立上り上下の主筋だけです。

ですが、全く法律違反でも何でもありません。

法律で必要ないとされている構造計算

どうしてこんなことが起こるのでしょうか?

実は、基礎の仕様に関して、許容応力度計算により決めなさいという決まりはありません。耐震等級2や耐震等級3の建物でも上部構造は計算しなければ認められませんが、基礎の許容応力度計算は不要です。

そもそもベタ基礎のメリットとして耐震性能が高くなるとお伝えしました。

しかし、耐震性能等級3(最高値)をとるためにですら「許容応力度計算」は義務付けられていません。より簡単な※壁量計算でもOKです。

※壁量計算・・・壁の量が基準を満たせば良く、位置や強度の指定はありません。対して許容応力度計算は建物を作る部材がどのくらい強いのか、どれくらいの力に耐えられるのか(許容応力)を計算します。

ここに落とし穴があります。

ベタ基礎だから耐震性能が高いのではありません。

しっかりとした構造計算(許容応力度計算)に基づくベタ基礎だから耐震性能が高くなるのです。

一番最初の部分で弊社でもベタ基礎を標準としている、とお伝えしました。

これは命や財産をちゃんと守れる耐震等級3をとるために許容応力度計算に基づくベタ基礎を標準としている、という意味なのです。

ぜひ、あなたが建築を依頼しようとしている会社に「何の計算に基づくベタ基礎ですか?」と聞いてみてください。

施主でもできる基礎工事のチェックポイント

1・基礎の仕様はどうやって決めているか確認

  構造計算(許容応力度計算)による仕様 → OK

  ベタ基礎スラブ配筋スパン表による仕様 → OK

  全建総連べた基礎スラブ配筋スパン表による仕様 → OK

  建築会社の告知のみによる仕様 → NG

2・配筋チェック・・・瑕疵保険の検査で検査員が図面と照合してくれる場合はお任せでも大丈夫でしょう

3・アンカーボルトの位置・・・型枠の真ん中にまっすぐ入っているか

4・養生期間が十分とれているか・・・目安で夏で3日。冬で5日。

基礎工事は素人にはわからないものですが、基本の基本だけ頭に入れて、是非現場に足を運んで下さい。施主様が来ると職人さんはうれしいものですし、より丁寧な施工もしてもらえそうな気がする?ような。

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