2020.04.15最終更新日:2020/09/08

夏涼しくて冬暖かい家を、高断熱高気密で作るコツ

 

家を建てるなら、だれもが手に入れたい“夏涼しくて冬暖かい家”。

 

どこをどうすればそんな家が建つのか?

 

夏涼しくて冬暖かい家 

 

と謳っておきながら、実際に住み始めると「夏暑くて、冬寒いやん!!」ということが、残念ながらあります。

 

そうならないためにも、住宅会社の言うことを鵜呑みにすることなく、ご自分で考えられるようになりませんか?

 

まず暑さ寒さに対してどうしたいのか、考え方の違いがあります。

 

“夏少しの冷房で涼しくて、冬少しの暖房で暖かい家” 

“冷房なしで涼しくて、暖房なしで暖かい家” 

夏少しの冷房で涼しく、冬少しの暖房で暖かい家

夏涼しく冬暖かい家に必要なのは高気密高断熱の家であることが条件です。

ただし、高気密高断熱の家であってもやはり夏は暑いですし、冬は寒いものです。

では、気密も断熱もない家と比べて何が違うのか?

高気密高断熱の家は少しの冷房、少しの暖房(少ない光熱費とも言う)で家じゅうを快適な温度にすることが出来ます。

それでは世の中にごまんとある

「高気密高断熱の家」

を謳う、ハウスメーカーや工務店に建築依頼すれば、夏涼しく冬暖かい家になるのか?

残念ながらそれも違います。

高気密高断熱には定義がないため、自分で高断熱だ!と言ってしまえば高断熱になってしまうのです。

そこで夏涼しく、冬暖かい家が欲しい人にぜひ知っておいてほしい数値があります。

UA値、Q値、C値、っていう一般の方にはよく分からない、建築会社が目標を定める性能を表す数値があります。(詳しくは後程説明します。)

そこで、夏涼しくて冬暖かい家を求めるのであれば、依頼先の見分け方の簡単で有効な手段としてはこんな質問もいいかもしれません。

「御社の断熱性能はG1グレードですか?それとも省エネ基準レベルですか?」

「UA値やQ値、C値ってよく聞くのですが何ですか?」

これらに答えられなかったり、UA値・Q値・C値が説明できない会社に“夏涼しく冬暖かい家“を求めるのは、そもそも無理があるといえます。

これらについては後述します。

ちゃんと答えてもらっても、それぞれの数値を「0.5」だ「3.1」だと言われてもそれが性能のいい数値かどうかわかりませんよね。

そういう時は建物内の温度が季節や時間、過ごし方によってどうなるのか?、

冷暖房費はどうなるのか?

そういったことを建築会社に聞いてみるのがいいと思います。

それぞれの家、それぞれの家庭の暮らし方による様々なシミュレーションが出来るようになっています。

さて、よくわからない内容を先に書いてしまいましたが、具体的に説明していきたいと思います。

断熱性能の基準値

先の建築会社の見分け方の質問の中に、G1グレードや省エネ基準という言葉が出ました。

まずはこれらが何であるかを簡単に説明しましょう。

日本では国を1から8の地域に分けて、求める断熱性能の基準を変えています。

例えば北海道の旭川市は1地域で、沖縄は8地域になります。

弊社のある滋賀県は、近江八幡市、草津市、守山市は6地域でそれ以外は5地域に区分されます。(新区分)

また、現在使われている断熱性能を表す基準値をUA値といいます。

UA値とは家全体の外部に面している面積(外皮面積)に対して、どれくらいの熱量が外に逃げているかを表します。

数字の小さいほど性能が高くなります。小さい数字の方が良いということですね。

現在推奨されるUA値の基準値は5地域の場合

省エネ基準 UA値0.87以下

ZEH(ゼッチ)基準 UA値0.6以下

HEAT20(G1・G2) UA値G1 0.48以下 G2 0.34以下 となります。

下に行くほど数値が小さくなり、すなわち高い性能になります。

さて、いろんな基準が出てきました。

まず、省エネ基準とは国土交通省の定める基準値になります。

これは日本の住宅の省エネレベルが、世界レベルで見た時にあまりに低いということで、最低限この基準は守りましょう、ということで設けられました。

ZEH基準は住宅で使うエネルギーをゼロにしようという目的なので、創エネルギーのために太陽光パネルが必須になります。その際の断熱性能の基準の数値になります。

一番性能の良い基準のHEAT20については次にまとめてみました。

HEAT20とは?

HEAT20とは長期的視点に立ち、住宅における更なる省エネルギー化をはかるため、断熱化された住宅の普及啓蒙を目的とした団体です。

簡単に言えば、今の日本の住宅の性能レベルは低すぎる!

と、改善に立ち上がった有志団体です。

メンバーは研究者、住宅・建材生産者団体によって構成されています。

そのHEAT20が冬の暖房期に部屋に居る時だけ暖房をつける想定(4?7地域)でのシミュレーション。

■ 住宅内の体感温度が15℃未満になる割合

 ・省エネ基準の家:30%程度

 ・G1グレードの家:20%程度

 ・G2グレードの家:15%程度

■ 最低の体感温度(住宅内の一番寒い場所で一番冷える時間の時)

 ・省エネ基準の家:おおむね8℃を下回らない

 ・G1グレードの家:おおむね10℃を下回らない

 ・G2グレードの家:おおむね13℃を下回らない

■ 省エネ基準と比較した暖房負荷削減率(光熱費に直結します)

 ・G1グレードの家:約30%削減(全館24時間冷暖房だと増加)

 ・G2グレードの家:約50%削減(全館24時間冷暖房だと同等)

以上を見ると当然G2グレードが一番性能がいいので『G2グレードにして下さい!』と言いたくなりますね。

もちろんG2グレードにこしたことはないですが、G2レベルにするには5地域(地域区分表)の場合は付加断熱(壁の中と外の2重断熱)が必要になり、コストが上がります。

このあたりのバランスについては後で述べることにします。

高断熱は夏を基準にするのか?それとも冬か?

割と暖かい地域に住んでいると

夏の暑さ対策の方が重要だ!

と言う方もいらっしゃるでしょう。

日本の住宅は夏を旨とすべし、なんて言葉もありますからね。

しかし、冬の断熱性能を上げると自ずと夏の遮熱性能も上がってきますので、断熱計画は冬を想定して考えるのが良いでしょう。

(いくつか夏用に考えるポイントはあるのでご心配なく)

断熱に関わる数値の話

一般の方にはどうでもいい数値の簡単な説明を少し。

・UA値・・・前述した通り、建物全体から逃げる熱を表面積で割る数値で、現在は断熱性能を表す数値の主流となっています。

・Q値・・・UA値の前に使われていた数値で、UA値が逃げる熱を表面積で割るのに対し、床面積で割ります。換気による熱損失も計算されているので保温性能がわかります。

現在でも冷暖房関係の計算にはQ値を使います。(UA値からQ値を導き出せます)

・C値・・・建物全体にどれだけの隙間があるかの割合で、高気密の目安になります。

C値は計算、設計で出せるのではなく建ててから計測しないと分かりませんので、実測するかそれぞれの建築会社の実績を確認した方がいいでしょう。

※建築会社の数値アピール合戦には注意してください※

『ウチの建てる家はUA値0.36でC値0.2です』

のどこが怪しいかわかりますか?

UA値は同じ仕様でも、設計して計算してみないとわからないので、それぞれ間取りの違う注文住宅では先に謳うことはできません。

また、C値は実測しない限り○○です、とは言えません。

推奨する基準数値

勿論数値がいいに越したことはありませんが、費用対効果を考慮した上で、個人的にはG1グレードで良いと思います。

(6、7地域ならG2グレードの仕様は大したコスト増もなく出来ます)

サクっと個人的な推奨値。(5,6地域)

UA値:0.46以下(より小さい)

Q値:1.7以下(より小さい)

C値:1.0以下(より小さい)

以上を最低ラインにしておけば光熱費も抑えられ、家じゅうがおおむね同じ温度で、体に優しくヒートショックや結露も起こりにくい家になると思います。

ただ、数値だけに囚われて建築会社の数値合戦に惑わされないようにしましょう。

冷房なしで涼しくて、暖房なしで暖かい家

パッシブデザインで作る家

次は“冷房なしで涼しくて、暖房なしで暖かい家”です。

これはパッシブデザインの考え方の一つで、家の形や配置、間取りによって作ります。

パッシブデザインについてはこちら。↓

設計の始まりはまず土地を読むこと

こちらも高断熱は大前提として考えます。

“冷房なしで涼しくて”は、いかに日射を遮って風を通すかがポイントです。

“暖房なしで暖かい”は、いかに日射を取り入れて熱を逃がさないかがポイントです。

相反することなので難しいですが工夫をすればいい着地点が見つかります

基本熱を逃がさないためには窓は小さく少なく高性能な方がいいのですが、南からは冬場の日射を取り入れなければいけません。

よって東西北は小さく少なく遮熱性の高い窓にし、南面は大きい窓で日射を取り入れるのが基本になります。

ただし、それでは夏は暑いので、南面はひさしを付けたり外付けブラインドやヨシズ等を利用して遮ります。

外付けブラインドは目隠しにもなりますし、多少の雨なら窓を開けられる、そして窓の外で熱を遮るのでお勧めですが、まだまだ価格が高く効果による冷房費の削減に限って計算すると元は取れません。

割と安く効果があるのはひさしです。

ヨシズが合わない洋風の外観でも使えます。

注意するのはひさしの大きさですが、冬の太陽は低いとは言え深すぎると日射を取り入れることができませんので、冬に日が入り夏は遮る深さにしましょう。

夏場の過剰な日射取得は掃き出し窓(テラス窓)はひさしの深さ、腰窓や高窓は軒の出によりある程度コントロールできるのです。

風の吹く方向は地域ごとにデータは有るものの、周辺の環境により変わってきたり日によって違ったりするので、出来るだけ4方向から取り入れるように考えましょう。

出来れば2階ホールの窓は高い所に付け熱い空気を排出しやすくします。

以上が基本的な考え方ですが注意したいのは、南側の窓から見えるのは隣の家の壁と窓や人通りの多い道路という景色で、西側は大きく開けていて眺めのいい景色、って時に基本を守っていてはロケーションがもったいないですね。

西側の大きな窓は夏の西日の暑さというリスクはありますが(設計の工夫で回避します)、眺めのいい景色で心の豊かさを取り入れましょう。

パッシブデザインは素晴らしい設計手法ではありますが、実際、弊社のある滋賀県多賀町ではいくら高断熱でも無暖房無冷房の家では暮らせないのが現実だと思います。

設計の考え方はパッシブデザインで、プラス、少ない冷暖房で済む高気密高断熱の家になる仕様が大切だと考えます。

基本は基本で固執しすぎないようにしなければなりません。

明るい部屋

夏涼しく冬暖かいには関係ないと思われる“明かり”についても少し説明します。

一見関係ないようですがパッシブデザインの要素の中には、自然光を取り込む「採光」という考え方があります。

軒を深くしたら部屋が暗くなるんじゃないか?

という疑問から窓にも関係してくるので、一緒に考えなければならない項目です。

通風計画と共にどの部屋も日中は照明を点けなくても過ごせるところに、窓を配置したいところです。

どうしても無理な場合は、照明器具もLEDが主流ですので照明で補うのも有りかと思います。

ただ、リビングや子供部屋等の居室は自然光だけで過ごしたいですね。

夏の日射を遮るために軒を深くして部屋が暗くなる、と思われがちですが光は入るので大丈夫です。

南に窓が取れなくても北側に大きくとれば明るい部屋は作れます。

(夕方は少し差が出ますが・・・)

夏涼しくて冬暖かい家を、高断熱高気密で作るコツ

夏涼しくて冬暖かい家が欲しいと思ったら、ついつい性能数値ばかりを追う建築業者の自己満足につられてしまうこともあるかもしれません。

まずは健康に過ごせる最低ラインから希望と予算を照らし合わせ、性能を上げていくのがいいのではないでしょうか。(私の推奨はG1グレード)

性能を上げるには窓の選定や断熱施工、気密施工などもポイントになってきますが、それらはまたの機会にします。

まずは、依頼先に求めるグレードを伝えましょう。

それにこたえられる会社なら窓の選定などもおのずと出来ていると思います。

性能を追い求めるあまり、コストが嵩んで住んでからの「暮らし」が貧しいものになるのは本末転倒ですね。

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