豊かな暮らしとは?
多分、これに正解は無いように思います。豊かに感じるポイントはひとそれぞれですよね。 都会の真ん中で便利に暮ら…
まず、長文になる事を最初に報告させて頂きます(いつもですが…)
先日、弊社が参加しておりますJBNという全国の工務店ネットワークの全国大会に参加すべく福島県いわき市まで行ってまいりました。様々な催しや基調講演がありましたが、今回の一番の目的は、「福島の今」を見学する事でした。
福島といえばおわかりかとおもいますが、原発問題により帰還困難地域となっている第一原発のある双葉町、大熊町、浪江町をバスからの車窓見学と、最近居住制限区域を解除された富岡町の津波被害を受けた地域を見学させて頂きました
現地まで来ずとも、写真、映像、記事 でイヤになるくらい見て聞いてきました。
得られた情報を元に、様々な取り組みをしたり、それを元にした考えで 物事を考えたり。
福島の復興へ向けての歩みなどを見る事で、今後の自分達にも生かせれば・・・何て考えてもいました。
「百聞は一見にしかず」
すこし意味は違いますが、実際に見るのと知ってるのではこれ程違うのかと思いしらされました。
震災以降の家造りが間違っていた訳ではありません。ただ、自分の意識の中で過去の地震として考え、その地震で起こったデータや情報を元にしてこれからの家造りとして提案をすればよいと思っていましたし、それは熊本地震後にも活かされており、取り組み方自体は間違っていないと思います。
ここは”過去”ではないんです。復興どころかいまでも震災が続いています。
2011年3月11日14時46分 あの震災から5年と8ヶ月
家もお店も学校も病院も、あの時から何も変わらないまま、まるで時間が止まっているかのようです。
津波被害の沿岸部以外は大きな倒壊もなく、いつもの街並み
つまり、ここにあるのは地震被害なんかではなく原発被害なんです。
おびただしい数の除染廃棄物を詰めた黒い袋があちらこちらに積み上げられ、帰還困難地域には歩く人も自転車も無く、家はその当時のままで、持ち主も泥棒も入れないようバリケードをされています。
風は少し冷たかったんですが、雲ひとつ無い晴天の日、自分達の住む町と何も変わらない街並みなのに、声も音楽も何の音も聞こえません。聞こえるのは車の行きかう音のみで、口や言葉では説明し難い異様な雰囲気と空気感がありました
ゴーストタウン
ガイドさんの言っていた「震災は天災ではなく人災である」の言葉が重く心に響きます。
この現状をみた帰りの電車で色々考えました。
自分に何が出来るだろう
工務店として何が出来るだろう
考えても考えても答えなんて出て来ません。
どんなに耐震性能をあげても住めないんです。
どんなに快適な高断熱住宅を作っても住めない んです。
自然素材で作られた安全・安心の家を作っても安全じゃないんです。
原発無くせば解決しますが、それは私の力では無理ですし、国が総力あげてとりかかって5年過ぎてもまだ放射能をコントロール出来てない んです。そんな簡単に無くせる訳ありません。
原子力が無くても電気はまかなえると原発反対の方は言われますが、政府や電力会社は必要だと言っています。
残念ながら私にはそれが判断できる知識がありません。 福島では不要でも別の地域では必要で、そこにとっては原子力は必要なものなのかもしれません。 私のような無知な人間が適当な事を言うのは良い事では無いと思ってますので、国の判断を信じるしかありません
ただ一つ言える事は、その役目が終われば原子力発電は無くすべき物であるという事です。その役目をいますぐにでも終わらせられるように、私や会社は努力すべきだと感じました
出来るだけエネルギーを使わない家
電力供給を受けずとも生活出来る家(創エネできる設備)
地震に負けない強さ
家の事なら、大きな声で皆さんに説明できますし、私の力も発揮できます
個人や一企業に出来る事は限られますが、少しでもエネルギー削減への取り組みが出来ればと感じた全国大会となりました
1日でも早い原発の収束と福島の方々の日常が戻る事を祈るばかりです。
頑張れ福島!
最後に、二日酔いになるぐらいおいしいお酒と楽しい時間をくれた福島の皆さまありがとう(お後がよろしいようで、、、)
問題の第一原発 写真中央にいくつかクレーンが建っているのですがそこになります。
直線距離で約2キロ
JR富岡駅跡 黒いフレコンバッグ(除染されてない廃棄物を入れた物)が山積みで置かれています。
こんな風景はここだけでなく、至る所に放置されています。
これが収束するのはいつ?いくらかかるの? 先が見えません
津波の被害1 アパートの階段に丸太が突っ込んだまま
津波の被害2 1階部分が根こそぎもってかれています
津波の被害3 電柱はポッキリ
津波の被害4 骨組みは残ったものの、1階部分は全て流され、土砂が入り込んでいます
津波の被害5 津波でグシャグシャですが、最近まで居住制限区域だった為、直す事も出来ず。5年も立ち入れなければ直せる訳ありません。もう解体するしかないです。
国道6号線のみ通れるようにし、脇線には入れないようバリケードされてます
もちろん、民家の入口も全てバリケード。住人や泥棒が入れないよう、警備員さんが毎日カギの番号を替えて巡回されてるそうです
写真では上手く伝えられないんですが、こんなに良い天気でどこにでもある街なのに人っこ一人いない風景には恐怖を覚えました。映画で見るゴーストタウンとはまったく違う感覚です
浪江町のインターチェンジ入口に放射線量を表す掲示が。
国(環境省)が示す年間の安全基準は1mSv(ミリシーベルト) これを下記単位で表すと0.23μSv/h
年間にするとどれだけになって、どのような健康被害が出るのかわかりませんが、この数値がいかにアカン数字かわかりますよね?
ここに住めないのはもちろんですが、復興に向けて作業されてる方や先ほどの警備の方もいらっしゃいます。
直接的ではないながらも震災被害は二次的・三次的につながっていきます。
政府や東電は本当にどうするつもりなんでしょうか?