2017.12.13最終更新日:2019/12/19

滋賀県湖東地方で腐りにくいとされてきた材料は

ごくごく一般的な人に、

日本の木で腐りにくいものは何でしょうか?

と聞くと、どんな答えが返ってくるのでしょうか。

 

アンケートをとったわけではないのでわかりませんが、

そもそも、木の種類を知っている人の方が少なそうで、

最もポピュラーな『桧』あたりが出てくる可能性が高そうです。

桧・ヒバ・栗・ケヤキ・山桜等が腐りにくいとされる材料です。

 

滋賀県湖東地方では、土台に『栗』を使っていました。

杉や桧より硬い材料で、土台だけではなく、皮押えという屋根下地の材料としても使っていました。

 

皮押えというのは、

多くの日本家屋が屋根を瓦で葺いていましたが、その下地はというと、

現在使っているような防水シートはありませんので、

タルキの上に野地板(大抵杉でした)という板を貼り、その上に杉皮を貼ります。

瓦

 

杉皮とは、まさに字の通りで、杉の皮です。

杉の皮をペロンとめくったもので、長さを1m程度に切ったものです。

それを野地板の上にきれいに並べていくのですが、

その杉皮を屋根に留める為の桟木を皮押えといいました。

 

この杉皮は防水の為だけに貼ったのではなく、

瓦の下に置く土がずれたりしないように杉皮を敷きました。

 

その杉皮を留める為の桟木ですから、腐りにくい材料という事で

滋賀県湖東地方では、よく栗が使われていました。

 

ある時、古い住宅の解体工事で瓦をめくってみると、

元々雨が漏れていたというのもあるのですが、

その腐りにくい材料である栗の皮押えが結構腐っていたにも関わらず、

同じ屋根で使われていた別の材料は、全く腐ってなかったんです。

 

それは何かといいますと、杉です。

 

正確にいいますと、杉の赤味材です。

赤味というのは、木材の中心部分(心材)の色が赤いところの事です。

 

赤味

上の画像で【柾目】と表示している四角の材料は、

左半分が『赤味』、右半分は『白太』(辺材)となり、

前述の、腐っていなかった皮押えは、この赤味の部分だけでできた材料でした。

 

それまでは、年配の人から『杉の赤味は強い』ということを聞いてはいましたが、

実際目の当たりにして、それを実感できました。

 

ですから、風雨にさらされる可能性のある部分に使用する木材では、

国産材なら『杉の赤味』を推奨しています。

 

 

 

 

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